文明論之概略
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000JBIUIO/mixi02-22/ 実際に読んだのは1931年刊行の書籍であるため更に文語調が強く記載部分によっては古文並みの難関な文章表現部分がある。 著者は慶應義塾大学創始者である福沢諭吉先生であり、明治維新により徳川鎖国幕府が終演を迎え、開国明治政府が指導する段階における西欧諸国の斬新な文明をどのように受け入れていくかを解説した書籍である。 当時は当初尊皇攘夷思想であったが、異国文化の進展があまりにも斬新で文明の遅れを認識するにいたり、攘夷思想ではなく他国文明を上手く取り入れ文明開化をすべきという思想になっていく。 中産階級出身であった著者は、儒学を学び維新を迎えるが封建制度の限界と課題を認識していたため儒学に対し批判的ではあったが、本書により如何に日本に文明を取り込むかという実践的課題解決に向けては、当時大半を締めていた儒学思想を味方に付ける必要があり、批判する視点では課題解決困難と判断し儒学思想とも融和を図れる内容で展開している。 当時は文明を知徳と同一と理解する国民が多かったが、知は教養を高めることで永久に高まるが、徳は倫理であり倫理観次第で低下することもあり、西欧が知得ともに 優れているとはいえないと、冷静な判断をしている。 特に西欧では文明が発展する契機として貴族階級の高いという階級闘争が関連していたことに着眼し『天は人の上に人を造らず』の基本理念を形成しているる。 著者は西欧列国がアジア地域に置いて植民地政策を開始して、西欧の隷属国としている現実を分析し現行の国際経済の原型である植民地経済論の展開を日本に対し西欧が試みていることを冷静に理解している。 西欧の著名な文明学者の書を原文で読み関連する日本史学を読んだ上で、西欧文明進展の経緯を概念として解説した上で、日本の史学上で関連する記載で例証し、文明進展を図る上で日本が何をすべきかを解説しており、当時原書や古典史を読めない学習者にも分かるように解説している。 文明進展の実践書という位置づけで、西欧歴史の解説と日本歴史の比較研究をした上で、今後の文明進展解決策を提案した書である。